2026年現在、フロントエンド開発のパラダイムが大きな転換点を迎えています。
これまで「データはサーバーにあり、API(RESTやGraphQL)で取得する」のが当たり前でした。
しかし、今海外のシニアエンジニアの間で最も熱く議論されているのは、その常識を覆す「Local-first(ローカルファースト)」という考え方です。
「オフラインでも爆速で動き、Googleドキュメントのような共同編集が当たり前にできる」。そんな次世代のWeb体験を実現するこの技術が、なぜ今日本でも注目すべきなのか。その筆頭格であるElectricSQLを例に解説します。
- Local-firstとは何か?「API待ち」からの解放
Local-firstとは、文字通り「まず手元のローカルDB(SQLite等)にデータを書き込み、裏側でサーバーと同期させる」アーキテクチャです。
これまでの開発(Cloud-first)との決定的な違いは以下の3点です。
ゼロ・レイテンシ: ユーザーが保存ボタンを押した瞬間、データは手元のDBに書き込まれるため、ネットワーク待ちの「ぐるぐる」が消滅します。
オフライン動作: 電波が悪くても関係ありません。オンライン復帰時に勝手に同期されます。
共同編集の容易さ: 複数のユーザーが同時に同じデータを編集しても、裏側の同期エンジンがコンフリクトを自動解決してくれます。
- 2026年の大本命:ElectricSQLの凄み
このLocal-firstを実現するための「同期エンジン」として今、最も勢いがあるのが ElectricSQL です。
通常、ローカルDBとサーバーDBの同期を自前で作るのは「地獄」です。データの競合や、どのデータが最新かの判定など、考慮すべき点が多すぎます。ElectricSQLはここを解決しました。
Postgresをそのまま使える: サーバー側は使い慣れたPostgreSQL。
型安全な同期: スキーマを定義すれば、TypeScriptの型を自動生成。
CRDTによる自動競合解決: 複数の人が同時に書き込んでも、データが壊れない数学的な仕組み(CRDT)を内蔵しています。
- 【検証】実際に触ってみてわかった「光と影」
海外のドキュメントやコミュニティの反応を含め、実装時に直面するリアルなポイントをまとめました。
感動した点:
一度同期が確立されると、Next.jsのuseEffectでAPIを叩くコードが一切不要になります。ローカルのSQLiteを監視するだけで、画面がリアルタイムに更新される体験は「開発のパラダイムが変わった」と実感させられます。
苦労する点:
環境構築にはDockerが必須。特に既存の巨大なDBを同期対象にする場合、どのテーブルをローカルに落とすか(Partial Replication)の設計に、これまでのAPI開発とは異なる脳の筋肉を使います。
認証の壁:
Auth.js(旧NextAuth)などの既存ライブラリと組み合わせる際、トークンの受け渡しに少し工夫が必要です。このあたりはまだ「枯れた技術」ではない分、先行者利益があるポイントと言えます。
- 日本のエンジニアはどう動くべきか?
なぜ今、このブログを書いているのか。
それは「日本の業務システムこそ、Local-firstが必要だから」です。
電波の悪い現場で使う点検アプリ
複数人でガリガリ入力する管理画面
一瞬の遅延も許されないダッシュボード
これらをNext.js + ElectricSQLで作れるエンジニアは、2026年において極めて希少価値が高くなります。「APIを作る」仕事から「同期基盤を設計する」仕事へ。単価を上げるなら今がチャンスです。
まとめ
「APIを叩くのが当たり前」という時代は、数年後には「懐かしいね」と言われているかもしれません。まずはElectricSQLの公式ドキュメントを眺めるだけでも、その未来の一端を感じられるはずです。